「データ分析をビジネスに活用する」ために、本質的に重要なことが多く記載(明文化)されている、すばらしい良書でした。本書が執筆されたのは2013年で、いわゆる最近の機械学習についての言及はほぼないため、逆に様々な手法に惑わされず、データ分析をビジネスに活用するために必要な力という視点で焦点が絞られていると感じました。
内容の多くが、私が3年ほどデータ分析業務に携わっているなかで体で感じたことであり、仕事を始めた頃に読んでいたら学習曲線は大きく変わっていたかもと思いつつ、逆に改めてここに書かれていることを反芻する必要があるとも感じました。
重要と思ったポイントをいくつか引用させていただきます。
- 「分析の価値」=「意思決定への寄与度」x「意思決定の重要性」
- 分析モデルは、所詮、現実を単純化かつ近似化したものに過ぎない、されど、現実のある特定の特徴について定量的な知見を与えてくれる。この「所詮」と「されど」の感覚をもって分析モデルと常に対峙する
- 「連続性の世界観」と「不連続性の世界観」。現実を支配しているのは、「不連続の世界感」。データ分析で解明できているのは、理想論的な「連続性の世界観」での解明に過ぎません。.. この知見が、現実の「不連続性の世界」においてどれだけの意味を持つかをよく吟味しなければなりません。
- データ分析とKKDはどちらが優れているかといった関係ではなく、相補的な関係にあります。分析者は、データ分析について謙虚な気持ちを持つとともに、KKDに対する敬意も持たなければなりません。
- ビジネス課題→1.見つける(意思決定問題化する)→分析問題→2.解く(分析問題化する)→数値解→3.使わせる→ビジネスの意思決定 これら三つの力を総称して「データ分析でビジネスを変える力」
ビジネスに貢献できるデータ分析力は、改めてとても大きな守備範囲が必要と感じましたし、それが売り物にできる「分析プロフェッショナル」になるためには、仕事を与えられだけでなく、自ら取り組むことが大切と改めて感じました。
お正月休みの、すばらしいリハビリ読書になりました。