書店でも平積みで見ることの多い伊賀泰代さん著の「生産性」を読了しました。

著者ご自身のマッキンゼーでのキャリア後半が「採用」と「人材育成」の部門だったそうで、個人の生産性という話に加え、組織としての目線が多分にあったのが非常に興味深かったです。生産性って個人では考えてはいても、いざ組織で、となると、なんでも「可視化、定量化」とか「効率をばかり追う」とかなり、どうもギスギスするネガティブなイメージがつきまとうな、と感じていたからです。(そもそも会社でお金もらって働いているのに、仕事の仕方やアウトプットが個人のプライバシーだという考え方が、本来おかしいのですが...)

  • 生産性=アウトプット(付加価値)/投入資源。同じ資源でアウトプットを最大化するアプローチ、投入資源を最小するアプローチ、両方ある。後者は「効率・コスト削減」と言われるが、決してそれだけじゃない。
  • 生産性と創造性(イノベーション)は相反するものではない。そもそも創造性の高い仕事「しか」していない人はいないはずで、より創造性の高い仕事のアウトプットを増やすために、他の仕事の生産性も最大化し、そもそもどうやって生産性を上げるか、と頭を捻るところにイノベーションの種があることも多い

といった感じで「生産性」とはなにか。なぜ大事なのか、という話が説明されつつ、組織としての目線では、人材育成や上司・部下の話に続きます。外資の「マッキンゼー」とはいっても、日本法人はあくまで日本の労働環境が適用されるので、決して遠い国の話ではなく、年功序列で流動性の低い、日本の企業でやれること目線で説明されているのも非常に実用的だと感じました。

  • 上司・マネジメントの役割は「組織の生産性を上げる」ことと、不確定要素のある状況で「決断」し「リスクに備える」こと
  • どのように生産性を上げる方向にモチベートできるか、目標設定・評価の考え方
  • 人材育成の目的は、「生産性を上げること」そのもの
  • トップパフォーマと一般社員の2:6:2。トップパフォーマ、ハイパフォーマの伸ばし方
  • トップパフォーマが会社に求めているのは、成長機会と、成長支援のための目標設定と振り返り。トップパフォーマは社外のトップパフォーマがライバル
  • 実際の業務の生産性に直結するロールプレイング研修

終盤は

  • 生産性の高い「資料の作り方」
  • 生産性の高い「会議の仕方」

といった感じで、すべての社員に向けた具体的なアドバイスとなっていました。

全体としては、「組織としての生産性がどうしても低くなりがちな、日本の大企業のマネジメントが読むべき一冊」だと思います。とても論理的かつ、実用的な内容になっており、本書の目的どおり、非常に生産性の高い本になっていると感じました。