ある縁があって、会社の部署でお呼びして、ライフネット生命 出口さんに「働き方の教科書」をテーマに講演会を開いて頂くチャンスを得ることができました。サラリーマンエンジニアをしていると案外、エンジニアリング以外のことはやる機会がないのですが、場所の手配や講演依頼、軽食の用意、費用の支払いなどなど普段やらないことを色々とできたのも勉強になりました。

本当にすばらしい講演と質疑・議論をいただけたので、自分なりに整理してみました。

今回、講演会のテーマとして設定させていただいたのは「これからのキャリア構築をどう考えていったら良いか?」というものでした。出口さんの著書「働き方の教科書」から、新人・中堅・シニアで、それぞれの役割みたいなものがあるんだろうと思い、そのあたりについて語って頂くつもりでした。

が、その想定は、うれしいことに、大きく裏切られました。

これからのキャリア構築をどう考えていったら良いか?

「これから」はどうなっているか

  • 世の中は変化している。長時間労働の工場型生産モデルから、アイデア勝負のサービス業モデルに変わった・変わっている
  • そんな中で「生産性」を高めるために何をする必要があるか。アイデアやチャンスを広げイノベーションを起こすには、縦で歴史を学び未来を考え、横で仕事・興味・つながりを広げていく、必要がある
  • 「飯・風呂・寝る」から「人・本・旅」の働き方
  • 世の中は変化しているから、会社と個人の関係も変わっている。会社は新しい働き方に合わせて、制度や契約も変える必要がでてくる

よってもって「キャリア構築」に正解/王道はない時代

  • 世の中の変化に対して決まったカタチで計画的に準備できる時代ではなくなった
  • 変化に対して、どれだけ対応できるかの方が重要。計画の価値は相対的に下がっている
  • ダーウィンの進化論

だから、変化に対応するため、自分に投資し続ける必要がある

  • 対応力をつけるためには「色々なことを体験、経験しておく」のが一番。事例の引き出しを持つ
  • だから、合理的に働いて、人・本・旅で学ぶ時間を作り、自分に投資してください
  • どんどん縦横の幅を広げて学び、変化に対して準備してください

ということでした。想定していたよりずっと深く、そして本質的な回答をいただけ、脳みそがめちゃくちゃ活性化されました。

その勢いで、会場からも多くの質問がでて、議論になりました。質問に対して「答え」を示される、というよりは「考え方のヒント・本質」が提示され、それをもらった質問者が自分の状況に照らし合わせて自分の頭で考える、という場になったと思います。

さまざまなテーマの質問がありましたが、自分なりに整理してみたのが以下です。

マネジメントや組織・仕事

  • マネージャの一番の仕事は「目標に向けて、仕事を 部下x能力 でうまく割り振ること」仕事のバランスが悪い、長時間労働、等はすべてマネージャの責任
  • マネジメントの要諦は「楽しい職場づくり」まずマネージャが楽しく働くこと
  • リーダーが持つべき3つの鏡 1.鏡(自分を見る) 2.歴史(過去を学ぶ) 3.ボロクソいってくれる人(他人にして指揮してもらう)
  • 仕事には「適性」がある。どうしても合わなければ無理にそれをやる・やらせる必要はない
  • 集団の 2:6:2 の原則。集団を伸ばしたかったら先頭の2を伸ばせ。そしたら皆ついてくる
  • 人材育成は組織にとってもっとも重要なテーマの一つ。いくら社長が勉強していいことを考えても、社員がそれを理解してついてきてくれなければ会社は動かない

人生について

  • 目的と手段を履き違えちゃいけない
  • 予測できない未来を心配したり、終わったことをくよくよと悩むのは時間の無駄
  • 人生の時間は有限。人生を無駄にする方法は、1.済んだことを愚痴る 2.人をうらやましがる 3.人に褒めてもらいたがる 少しでもこれらを小さくすればきっと人生は豊かになる
  • 人生の転機のきっかけは偶然。自分で選ぶことはできない。でも、偶然を起こしたり、その偶然をつかめるか、は本人の準備次第。人・本・旅でチャンスが来る

学びについて

  • 人・本・旅で学ぶ。本は、特に古典を読むのがいい。「本を読む」ということは「一流の人がものを考えた思考のプロセスを追体験できる」こと。それによって「考える力」を養うことができる
  • 何かを身につけるためには継続が必要だが、人間は基本的にはレイジーな生き物。黙っているとサボってしまう。だから継続できるように、頭を使って仕組みを作る必要がある
  • 世の中はシンプル。シンプルに考えろ(そこに頭をつかう)

その他

  • 数字・ファクト・ロジック。同じ「データ」を見て意見の違いがあるとすると、その原因は2つ。1.リテラシーの差、2.考えている時間軸の差(課題認識・コンテクスト)。ここの差を埋めれば意見の相違は起きない
  • 信頼関係を築くために、必ずしも「長い時間」が必要というわけではない。大抵の場合は「一瞬でだいたいわかる」

最後に、(もやもやしていた) 社会の目標・GDPと、「幸せ」について

この講演会中後で、一番もやもやとしてしまったのが、シンプルな社会の目標の一つとしてGDPが示され、幸福度といったものが否定された点でした。本当にGDPだけを追っていて、個人はシアワセなのかなぁと

その後 前野隆司さんの「幸せのメカニズム」を読んでいて、このように考えました。

  • 「イノベーション」を生み出したい 組織・社会の目線では、
  • 「生産性を高める」目的に対して、「幸福度向上させる」ことを手段として捉えることもできる

前野さんによると、幸せの指標が高ければ、個人・組織の生産性が高い、ということがある程度示されているとのことです。なぜかと解釈をすると、仕事に満足している、上司に満足している、家庭に満足している、といった個別的な満足度の指標と違い、幸福度は全体的な指標だから相関が高くなる。ここはサービスの顧客エンゲージメント調査に使われる、NPS ( net promoter score ) の考え方に似ていると思いました。

すなわち、幸せな個人が多い会社・社会は生産性が高い

会社の業績を上げる・イノベーションを生み出すといった際、現状分析や、世の中・競合の分析を行って、取り組むべきイシューを見極め、そこに力を注ぐ、ということがされますが、とはいっても、取り組むイシューはどうしても個々・それぞれになりがちです。

であれば、逆にもやっとした「幸福度を上げる」という施策(=手段)が、実際は会社の業績を上げることに寄与するんではないか。出口さんが「幸福度」を追うというのはおかしい、とおっしゃられていたのは、それは「目的」じゃなくて、「手段」だ、ということなのかも、とも思えてきています。

...まだまだもやもやは続きます笑

スルメイカのように何度も考えさせられる、持ち帰るものが多い講演会となりました。加えて、こうした場を職場の方々と一緒に体験できたのは、今後の仕事にもとても役立ちそうです。

免責:言わずもがなですが、私なりの解釈が入っているため、忠実性・正確性はよくわかりません。あしからず