東京国立博物館が主催する「訪日外国人客の記憶に残る日本文化体験とは?〜ICTは博物館で何ができるのか?〜」というアイデアソン、「トーハクxアイデアソン」の成果発表会を見て来ました。

なかなかチャレンジングなアイデアソンだったようで、応募者は土曜日の朝に集合、初対面の参加者とオリエン含めて1日缶詰でアイデアを練り上げ、日曜日の昼から発表というものでした。チームは6人ずつ5チームで、計30名が参加したようでした。仕事でもこういった「アイデアを発想して、まとめて、提案」みたいな場がありますが、やはり集中力って重要なんだろうなと感じました。短期間かつメンバーも初対面というなかで、すばらしい発表だったと思います。きっと、チームメンバーもそれぞれの思いや提案を持って集まったなか、この短期間で1つのアイデアに集約して、それを資料にして、発表して、、と、、たいへんなチーム作業だったと想像しました。

発表会には、ファシリテータのさとなおさん、審査員として、サシャさん、橋本麻里さん、東大 暦本さん、副館長 松本さんが登場しました。橋本さんは、私は初めて拝見したのですが、日本美術のライターさんだそうですが、非常に聡明そうな話し方でとても印象的でした。

そんな提案の中で最優秀を取ったアイデアは、やはり他の4つとはひと味違った、すばらしいアイデアでした。どこが素晴らしかったのかというと、、

  • 観光客は、展示物を通じて「日本の文化、生活や背景・歴史を知りたい」
  • でも旅行中は「時間がなく」さらに、いくら情報があっても短い時間では「情報過多で疲れてしまう」
  • 結果として、本来見たかった、そしてトーハクが見せたかった「展示物」を見た気がしない というトレードオフが課題と分析していた
  • その中で、訪日外国人観光客の、博物館での体験を、「前、中、後」と分解して分析できている。その結果、「中(博物館で作品を見るタイミング)」では、トーハクならではの「実物を見る」という体験に集中させ、「後」の体験を改善することでトータルの体験を良くしている提案だった
  • 更に「中」での体験でも、展示物を見ているタイミングに加え、「休憩中」というどちらかというと「後」のタイミングもあぶり出して、「休憩中」に提供できる体験も提案していた

発表会の提案をネタに(といっては失礼ですが)、その後のファシリテータ、審査員、会場からの質問を含めた議論はさらに面白かったです。

最優秀の提案は、特に自分の旅行体験にもしっくり来たので非常に「刺さった」のですが、他にもサシャさんからは、子ども連れの方が博物館・美術館に鑑賞できない、という課題がでたりと、ひとえに訪日外国人観光客、といっても、どこの国の人なのか、どういった状況の人なのか、でさまざまな課題があるんだなぁと再認識させられました。次点となった提案での発表では、そういった「ペルソナ」を明確に定義しているすばらしい発表もありました。

5つのうち、4つの発表が「VR/AR」的なものに偏ってしまったのはちょっと残念でした。確かに外国人なのでもっと視覚的にサポートできないか、という発想はすばらしいとは思いますが、今回のアイデアソンでは似通ったりに見えてしまって損してしまったと思います。そんな中で暦本さんからは、まだまだ「オーディオガイド」にもやるべきことがあるんじゃないか。一方的に説明を流すのではなく、位置情報・視点・AI等を活用することで、その場で本当に興味をもった作品に的確に、最小限に情報を提供する「バーチャル学芸員」などできないか、といった提案もありました。欲しい!

また、アイデアソン参加者からは、で「トーハクはどーしたいの?ICTとか本当に使いたいの?」といった本質的な質問もでて来ました。トーハクのビジョンやミッションとICTというhowがマッチしているのかという違和感だったと思います。そこに対して副館長松本さんからは、「実はそこに悩んでいて、今回のアイデアソンにも繋がった」というような本音をいただけ、企業や組織として、こういったオープンな議論の大切さ、期待しているところに対しても、興味深かったです。

ちなみに、東京国立博物館は「トーハク」っていうんですね。私は、トーハクの常設展示はまだ見たことがなかったのですが、このイベントをきっかけに、見に来たいと思いました。